「魚類の社会行動」【1】【2】【3】

編集【1】桑村哲生,狩野 賢司
【2】中嶋康裕,狩野賢司
【3】幸田正典,中嶋康裕
出版社海游舎
ISBN【1】978-4905930-77-8
【2】978-4-905930-78-5
【3】978-4905930-79-2
価格各2,730円
本書は若手研究者(当時の)を中心に、日本の魚類行動生態学の研究の大きな成果をわかりやすく紹介している本で、貴重な青春を魚とともに過ごした若者の熱い思いのこもった「臨場感あふれる読み物」でもあります。そのテーマは性転換,配偶者選択,子の保護,精子間競争、性の対立、繁殖システム、進化プロセス、性の進化、種間関係、代替戦略などなど、魚類行動生態学の研究トピックのほぼすべてが網羅されています。そして特筆すべきは、彼らがどうやってその結論を導き出したのかというプロセスを追いながら調査方法の詳細まで記述している点で、フィールドワークの大きなヒントとなることは間違いありません。中には我々アマチュアダイバーが簡単に行うことのできない標識(タグ)の取付や採取・解剖による性別の確認なども含まれてはいますが、それはそれで研究者のフィールドワークを垣間見ることができます。執筆者はいずれも編者が遠慮ない厳しい視点で選んだ研究者のみであり、実力は折り紙付きです。現在も第一線で活躍しておられることはいうまでもありません。

【1】
1章:サンゴ礁魚類における精子の節約(吉川朋子)
2章:テングカワハギの配偶システムをめぐる雌雄の駆け引き(小北智之)
3章:ミスジチョウチョウウオのパートナー認知とディスプレイ(藪田慎司)
4章:サザナミハゼのペア行動と子育て:一夫一妻の制約の中で.(竹垣 毅)
5章:口内保育魚テンジクダイ類の雄による子育てと子殺し(奥田 昇)

【2】
1章:雄が小さいコリドラスとその奇妙な受精様式(幸田正典)
2章:カジカ類の繁殖行動と精子多型(早川洋一)
3章:フナの有性・無性集団の共存(箱山 洋)
4章:ホンソメワケベラの雌がハレムを離れるとき(坂井陽一)
5章:タカノハダイの重複なわばりと摂餌行動(松本一範)

【3】
1章:カザリキュウセンの性淘汰と性転換(狩野賢司)
2章:なぜシワイカナゴの雄はなわばりを放棄するのか(成松庸二)
3章:クロヨシノボリの配偶者選択(高橋大輔)
4章:なわばり型ハレムをもつコウライトラギスの性転換(大西信弘)
5章:サケ科魚類における河川残留型の繁殖行動と繁殖形質(小関右介)
6章:シベリアの古代湖で見たカジカの卵―バイカルカジカたちの種分化機構の謎に迫る(宗原弘幸)

珍しい魚の見て写真を撮って名前を覚えるだけでは飽き足らなくなった全スズ振会員の行動指針を示している良書です。